業務用エアコンの消費電力はどれぐらい?電気代を節約する方法
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オフィスや店舗で使用する業務用エアコンにかかる電気代は、なるべく抑えたいものですよね。
例えば、飲食店で消費する電力の約51%は空調によるものと言われています。空調の電気代を抑えることは節電対策として効果的です。
本記事では、業務用エアコンにかかる電気代の目安や、電気代を節約する方法について詳しく紹介します。ぜひ参考にして下さいね。
1.業務用エアコンの電気代の計算方法
業務用エアコンにかかる電気代は、室内外の気温など使用状況や、部屋の広さ・形状など使用環境、電力会社との契約内容によって異なります。業務用エアコンの電気代を求める計算式は、次の通りです。
消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量料金(円/kWh)= 電気代(円)
消費電力は機種によって、また、冷房時と暖房時で異なります。エアコンのカタログを見れば、該当機種の消費電力を調べることが可能です。
カタログには「定格の消費電力」と「最少~最大の消費電力」の両方が記載されています。定格の消費電力とは、指定された条件下で運転した時の消費電力です。「最少~最大の消費電力」とは、冷暖房する部屋の状況によってエアコンの能力が変化するため、この範囲内で電力を消費することを意味します。
2.空調電力の表示単位は?馬力って何?
「馬力」はかつてエアコンが設定温度に調節するパワーの大きさ(空調能力)を指していた単位です。
現在はkW表示が用いられています。
ちなみに、2.8kWは1馬力に相当します。
3.業務用エアコンの電気代の目安
業務用エアコンの電気代は、使用する機種や設置場所の状況(広さ、用途、外気温など)、使用時間、契約料金などによって異なります。
ここでは参考までに、ダイキンが試算した電気代料金を紹介します。
まず、業務用エアコンを夏場に1ヶ月間、最大運転し続けた場合の電気代を見てみましょう。試算条件は次の通りです。
【試算条件】
契約電力:3.26kW
基本料金:1,716円/kW
力率割引・割増(※):0.85
電力量料金単価:17.37円/kWh
※送電のうち、実際に消費した電力の割合に応じて基本料金の割引・割増がある制度
【基本料金:3.26kW × 1,716円 × 0.85】+【電力量料金:3.26kW × 24時間 × 31日 × 17.37円】= 1ヶ月間当たり最大約47,000円
2008年モデルの「SYCP140AB」を1年間使用した場合の電気代は約154,300円です。試算条件は次の通りです。
【試算条件】
運転日数:1ヶ月当たり25日×10ヶ月=250日間
運転時間/日:13時間
総運転時間:250日間×13時間=3250時間
年間消費電力量:4,603kWh
4.業務用エアコンは24時間つけっぱなしがお得?
「エアコンは、こまめにスイッチを切るよりもつけっぱなしにした方が電気代を節約できる」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。その説が正しいかどうかは、エアコンの使用状況により異なります。
エアコンが最も多くの電力を使用するのは、起動してから設定温度に至るまでです。そのため、コンビニエンスストアのように24時間営業の店舗などであれば、つけっぱなしにする方が冷暖房効率が良くなる可能性があります。
一方、建物内に30分以上、誰もいなくなるような場合は、その都度エアコンを切る方がお得になると言われています。例えば、営業時間が限られている店舗やオフィスなどの場合です。営業時間終了後は一度エアコンを切り、翌日の営業時間になってから、またエアコンのスイッチを入れるようにする方が良いでしょう。
5.業務用エアコンの電気代を節約する方法
ここでは、業務用エアコンの電気代を節約する具体的なテクニックとして、8つの方法を紹介します。
5-1.定期的にフィルター掃除をする
業務用エアコンのフィルターを定期的に掃除すると、エアコンの運転効率が向上して電気代の節約につながります。
エアコンを使用していると、部屋の空気に含まれるゴミやほこり、花粉や油などがフィルターに付着します。掃除をしない状態でエアコンを使い続けると、フィルターが目詰まりして空気を吸い込む力が弱まり、エアコンの運転効率が低下する場合があります。すると、余分な電気を消費して電気代がかさんでしまうのです。
頻繁にフィルターを取り外して水洗いすることが難しい場合は、フィルターをエアコンに付けたまま、掃除機でほこりを吸い取るだけでも、多少の効果があります。また、精密機械であるエアコンは内部の掃除が難しいため、定期的に専門業者へクリーニングを依頼することをおすすめします。
5-2.風量を「自動」に設定する
業務用エアコンの風量を「自動」に設定すると、無駄な電気代の削減につながります。
エアコンはスイッチを入れてから設定温度になるまでが最も多くの電力を消費します。そのため、エアコンの起動時は風量を強くして、早く設定温度に達する方が効率的です。また、設定温度に達してからは、適温をキープできる程度の風量まで弱めた方が節電になります。
そこで、初めから風量を「自動」に設定しておけば、つけ始めは風量を強く、室温が安定してからは自動的に風量を弱く調整してくれるため、余分な電力を消費せずに済むでしょう。
5-3.エアコンをつける前に換気する
夏場の暑い時期は、業務用エアコンをつける前に部屋の空気を入れ替えることで、電気代が削減できます。
外気温が高い時期はエアコンをつける前の室内には熱気がこもり、室温はかなり上がっています。そこで、エアコンをつける前にドアや窓を開けて部屋の外に熱気を逃がすことによって、室温を下げるために余分な電力を使うことなく、効率的に部屋を冷やすことができるのです。
換気する時は、風上と風下の2ヶ所の窓を開けると、うまく熱気を外に出すことができます。
5-4.設定温度を変更する
業務用エアコンの設定温度を変更することで、電気代を抑えられる場合があります。
体感として「冷え過ぎる」「暖房が強過ぎて暑い」と感じる場合は、設定温度を見直してみましょう。また、設定温度と外気温との温度差を少なくすると、消費電力を削減でき、電気代の削減につながります。
ただし、設定温度と実際の部屋の温度が異なる場合もある点に注意しましょう。「設定温度を何℃にすれば、実際の室温を快適にできるか」については、部屋の状況やエアコンの状態により異なるため、実際に使用して把握することが大切です。
目安としては、夏は28℃、冬は20℃を目安に設定すると良いでしょう。
5-5.日射で室温をコントロールする
日射対策をすることで、業務用エアコンの電気代を下げることにつながります。
室内の温度は、窓やガラス戸などから入る日射によって上昇します。そこで、夏にはカーテンやブラインドで日射を遮ることによって、室温を下げることが可能です。
逆に、冬は窓やガラス戸から室内に日射を取り入れることで、室温を上げることができます。
エアコンが最も多くの電力を消費するのは、設定温度に達するまでの間です。そこで、日射を遮ったり取り入れたりして室温をコントロールすれば、エアコンの電気代を抑えることにつながります。
5-6.業務用エアコンを見直す
現在使用している業務用エアコンのタイプが古い場合は、省エネタイプの製品に買い換えることも、電気代を抑えるための一つの手です。
近年では、省エネモデルの業務用エアコンも増えてきています。特に、15年前に発売された業務用エアコンから最新の省エネタイプの業務用エアコン(5馬力)に買い替えたところ、一年当たりの電気代が50%以上も安くなったという例もあります。
このように、新しいエアコンに買い替えることで節電できる可能性があります。業務用エアコンの耐用年数は13年から15年と言われているので、現在のエアコンを長く使っている場合は、買い替えを検討してみると良いでしょう。
5-7.扇風機やサーキュレーターを活用する
業務用エアコンに扇風機やサーキュレーターを併用すれば、電気代の削減につながります。扇風機やサーキュレーターの活用によって体感温度が下がるため、エアコンの風量を強くしたり設定温度を極端にしたりしなくても、快適に過ごせるでしょう。
エアコンとサーキュレーターを併用する際は、エアコンから出る空気が吹き出してくる位置にサーキュレーターを置き、冷やしたい(あたためたい)方向に送風することです。
5-8.室外機に日よけを設置する
夏は、業務用エアコンの室外機に日よけを設置することで電気代を抑えられる場合があります。エアコンは室外機と本体の熱交換で空調を行うため、室外機に日よけを設置して室外機周辺の温度上昇を防げば、効率的に冷房運転を行えます。また、室外機に日よけを設置することで、猛暑の日に室外機のトラブルが発生してエアコンが使えなくなる事態を予防することも可能です。
日よけを設置する意義は、室外機をできるだけ直射日光に当てないようにすることにあります。この時、室外機の吹き出し口をふさいでしまうと放熱が妨げられて、室外機にも室内機にも負担がかかってしまうため、しっかりと間隔を取って設置するように注意しましょう。
6.業務用エアコンの消費電力が増える原因
業務用エアコンの消費電力が増える主な原因は、次の2つです。
●外気温と設定温度に差がある
●エアコンが経年劣化している
上記の原因を知って対策することで、電気代を抑えましょう。
6-1.外気温と設定温度に差がある
外気温と設定温度の差が大きいほど温度調整に稼働力を必要とするので、その分、消費電力が増えてしまいます。その場合は、温度差の大きいエリア向けのエアコンを使用するのも、1つの手です。
例えば、業務用エアコンの中には、ダイキンの「スゴ暖ZEAS」シリーズなどのように寒冷地に対応した製品もあります。冬の外気温と設定温度の差が大きい地域の人はぜひご検討下さい。
6-2.エアコンが経年劣化している
「業務用エアコンの電気代が高くなった」「空調効果が悪くなった」と感じる場合、使用しているエアコンが古くなっていて、本来の空調能力を発揮できなくなっている可能性があります。
エアコンが経年劣化すると、設定温度まで調整するパワーが落ちるため高速運転をする時間が長く続くことになり、その分、消費電力が増加します。特に、コンプレッサーが摩耗すると、冷房の効きが悪くなってしまいます。
7.電気代が安い業務用エアコンの選び方
業務用エアコンの電気代を抑えるためには、使用する環境に合った正しいエアコンを選びましょう。選ぶ際の主な基準は次の2つです。
1. APF値が高いものを選ぶ
2. オフィス・店舗に合った機種を選ぶ
それぞれについて、以下で解説します。
7-1.1. APF値が高いものを選ぶ
電気代が安い業務用エアコンを選ぶなら、省エネ性能を表すAPF値が高いものを選びましょう。APF(Annual Performance Factor)とは「通年エネルギー消費効率」を示すJIS企画で、「年間を通して、どのくらいの効率で冷暖房できるか」を意味します。
APF値は、一定条件のもとで一年間を通してエアコンを運転した場合において、消費電力1kW当たりの冷暖房能力を表します。さらに詳しく言えば、【一年当たりで室内の空気から除去した熱量+室内空気に加えた熱量 ÷ 一年当たりの消費電力】という数式で表されます。
APF値が大きくなるほど省エネ性能が高く、消費電力量は少なくなります。例えば、APF6のエアコンとAPF5のエアコンの消費電力量を比べた場合は5 ÷ 6 = 0.833と、約17%の節電になるのです。
7-2.2. オフィス・店舗に合った機種を選ぶ
業務用エアコンにはさまざまな種類があるため、設置場所の用途に応じて選ぶのがおすすめです。
業務用エアコンの形状には、天井埋込カセット形や天井埋込ビルトイン形、天井埋込ダクト形、天吊露出形、床置形、壁掛形といった種類があります。
また、室内機と室外機の組み合わせパターンによって、「パッケージエアコン」と「ビル用マルチエアコン」に分類されます。パッケージエアコンとは1台の室外機で空調能力が同じ複数台の室内機を動かすタイプです。それに対し、1台の室外機で空調能力が異なる複数台の室内機を動かすタイプをビル用マルチエアコン(ビルマル)と呼びます。
それから、使用電源が異なる「単相エアコン」「三相エアコン」という分類もあります。単相エアコンは単相200V(3線式)の電源を使用し、三相エアコンは三相(3線式)の電源を使用するタイプです。
三相エアコンの方が空調能力が高いという特徴もあります。単相エアコンでは1.5~3馬力程度の製品が多いのに対して、三相エアコンは1.5~10馬力までと、幅広い製品展開がされています。
自社に合った業務用エアコンを選ぶなら、設置する場所の形状やデザインを基準に考えると良いでしょう。例えば、天井のデザインとの調和を図りたいなら、ダイキンの「天井埋込カセット形360°吹出(Sラウンドフロー)」がおすすめです。
また、部屋の形状がL字形やコの字形などの変形店舗には、吹き出し口を本体から離れた位置に設置できる「天井埋込ダクト形・天井埋込カセット形(ビルトインHiタイプ)」などが適しています。
7-3.3. 空調能力で選ぶ
業務用エアコンは、設置場所の業種と部屋の面積によって、必要となる空調能力(馬力)が異なります。以下の表を目安に選んで下さい。
空調能力
(冷房時) |
一般事務所 | 理美容院 | 一般商店 | 飲食店 |
1.5馬力 | 17~38㎡ | 14~17㎡ | 22~25㎡ | 11~21㎡ |
1.8馬力 | 20~43㎡ | 16~20㎡ | 25~28㎡ | 12~24㎡ |
2馬力 | 22~48㎡ | 17~22㎡ | 28~31㎡ | 14~26㎡ |
2.3馬力 | 24~53㎡ | 19~24㎡ | 31~35㎡ | 15~29㎡ |
2.5馬力 | 27~60㎡ | 22~27㎡ | 35~39㎡ | 17~33㎡ |
3馬力 | 35~76㎡ | 28~35㎡ | 44~50㎡ | 22~42㎡ |
4馬力 | 49~107㎡ | 39~49㎡ | 62~70㎡ | 30~59㎡ |
5馬力 | 61~133㎡ | 48~61㎡ | 78~88㎡ | 38~74㎡ |
6馬力 | 70~152㎡ | 55~70㎡ | 89~100㎡ | 43~84㎡ |
8.ダイキンの省エネ業務用エアコン
ダイキンでは、省エネ機能を備えた業務用エアコンを取り扱っています。ここでは、代表的な製品として「FIVE STAR ZEAS」シリーズを紹介します。
8-1.FIVE STAR ZEASシリーズ
FIVE STAR ZEASシリーズは、業務用エアコンの開発実績が70年以上あるダイキンによる最新技術を満載した省エネフラッグシップモデルです。ダイキン史上最高の省エネシリーズであり、業界トップクラスのAPFを備えています。
具体的なAPF値の例として、P63形(2023年モデル)が7.4からP40形(2023年モデル)の8.0までが挙げられます。
また、FIVE STAR ZEASシリーズは「省エネコンシェルジュ」の対象機種です。省エネコンシェルジュとは「アシスネットサービス」契約によって受けられるエアコン専用相談サービスで、エアコンの使用状況による最適な設定や使い方、などをコンシェルジュが提案します。もちろん、エアコンを使用するうちに出てくる疑問を相談することもできます。
9.業務用エアコンはダイキンにお問い合わせ下さい
ダイキンは、70年以上もの長きにわたり空調専門メーカーとして培ってきた実績と品質があります。最新の省エネエアコンをラインナップする他、新しい選択肢としてエアコン定額利用サービス「ZEAS Connect」も提供しています。
ZEAS Connectを契約すれば、初期費用ゼロでエアコン機器の設置から修理・管理までまかなえます。また、ショールームで実際に製品を紹介しながら、空調のプロが貴社に最適な製品や設置場所のご提案をすることも可能です。
業務用エアコンについての疑問やご相談は、ぜひ、ダイキンまでお気軽にお問い合わせ下さい。