エアコンの消費電力を抑える方法は?省エネ効果の高いエアコンの選び方

業務用エアコンを使用するなら、「できるだけ電気代を抑えたい」と考えるもの。エアコンの電気代を抑えるためには、エアコンの消費電力について正しく知る必要があります。
本記事ではエアコンの消費電力に関する基礎知識から、節電のコツや省エネ効果の高い最新エアコンの選び方までを詳しく解説します。業務用エアコンの導入や買い替えを検討中の人はぜひ参考にして下さい。
- Index
エアコンの消費電力の基礎知識
まず、エアコンの消費電力の基礎知識を押さえておきましょう。
- 消費電力とは何か
- 消費電力の単位
- 冷房と暖房での消費電力の違い
- 消費電力の計算方法
それぞれについて以下で解説します。
1-1.消費電力とは何か
消費電力とは、電気製品を使用する際に消費する電力の大きさです。W(ワット)という単位で表すため、ワット数と呼ばれることもあります。エアコンの消費電力は一定ではなく、運転モードや設定温度、外気温、部屋の広さなど、さまざまな要素によって変動します。
消費電力と似ている用語に「消費電力量」があります。消費電力が電気製品の性能を示すことに対し、消費電力量は実際に消費した電力量です。また、「期間消費電力量」とはエアコン特有のJIS規格で、一定の状況におけるエアコンの消費電力量を算出したものです。
1-2.消費電力の単位
消費電力はワット(W)やキロワット(kW)で表記します。1000Wが1kWです。
それに対し、消費電力量はワットアワー(Wh)やキロワットアワー(kWh)で表します。1000Whが1kWhです。ワットアワーやキロワットアワーは、1時間当たりの消費電力量を意味します。
例えば、冷房の消費電力が425W・暖房の消費電力が450W のエアコンを冷房で1時間運転すると想定した場合、単純計算で求められる消費電力量は425Whです。ただし、冷房にも暖房にもそれぞれ最少消費電力・最大消費電力があるため、想定消費電力量と誤差が生じます。実際の消費電力量は電気代明細書で確認しましょう。
1-3.冷房と暖房での消費電力の違い
冷房時よりも暖房時の方が消費電力が大きい傾向があります。暖房を使う季節は外気温がかなり下がり、快適に過ごせる室温まで暖めるために大きなエネルギーを必要とするためです。
例えば、外気温が32℃で設定温度28℃で冷房運転をする場合、外気温と設定温度の差は4℃です。それに対して、外気温が5℃の時に設定温度20℃で暖房運転をすれば、外気温と設定温度の差は15℃になります。エアコンの消費電力は外気温と設定温度の差が大きいほど増加するため、暖房運転の方が消費電力が大きいのです。
ちなみに、JIS C 9612 が定めている「期間消費電力量」を算出する基準期間についても、冷房の135日間(5月23日~10月4日)に対して暖房は160日間(11月8日~4月16日)長く、期間消費電力量も大きくなります。
1-4.消費電力の計算方法
それでは、消費電力・使用時間・電気料金単価に基づいてエアコンにかかる電気代がいくらになるかを計算してみましょう。電気代は次の計算式で求められます。
電気代(円) = 消費電力(kW) × 使用時間(時間) × 電気料金単価(円/kWh)
例えば、消費電力が1.2kWのエアコンを5時間運転し、電気料金単価が31円/kWhとします。この場合のエアコンにかかる電気代は次の通りです。
電気代=1.2kW × 5時間 × 31円/kWh = 186円
電気を消費する電気製品はエアコン以外にもあるので、電気代明細書を見るだけではエアコンにかかる電気代は分かりません。上記の計算を用いれば電気代全体のうちエアコンの電気代がどれだけを占めるかの計算が可能です。
エアコンの消費電力に影響を与える要因

エアコンの消費電力に影響を与える主な要因は次の4つです。
- 設定温度
- 部屋の広さと断熱性
- 外気温の変化
- エアコンの使用時間
それぞれについて以下で解説します。
2-1.設定温度
エアコンの設定温度と外気温の差が大きくなるほど消費電力も大きくなります。よって、夏は設定温度を上げること、冬は設定温度を下げることが節電のコツです。
設定温度と実際の室温は異なる点に注意しましょう。加えて、体感温度は室内の空気の流れや湿度などによっても異なります。
2-2.設置場所の広さと断熱性
設置場所の広さや断熱性によってエアコンの効率に差が生じ、消費電力にも影響を及ぼします。例えば、部屋が広いと消費電力は増加しますし、断熱性が低い部屋は外気温の影響を受けやすくなります。
加えて、設置場所に合った容量のエアコンを選ぶ必要があります。エアコンの適切な容量は建物の断熱性や間取りによって異なるため、購入時に販売店に相談すると良いでしょう。
2-3.外気温の変化
エアコンは外気温と設定温度の差が大きいほど活発な運転を行うため、外気温の変化もエアコンの消費電力が増減する原因です。例えば、冷房時は外気温が高いほど消費電力が増加し、暖房時は外気温が低いほど増加します。
また、屋外の熱や冷気が窓や壁から室内に入りこんで室温に影響を及ぼすことも消費電力が増える原因です。外気温の変化による影響を抑えるための主な対策は次の通りです。
- (冷房時)ブラインドを使用して直射日光を遮る
- (冷暖房時)夜間は窓を閉めて冷気や熱気の侵入を防ぐ
2-4.エアコンの使用時間
消費電力はエアコンの使用時間と関係しますが、必ずしも「こまめに停止する方が節電になる」とは限りません。エアコンは起動時に最も多くの電力を消費します。また、室温と設定温度の差が大きいほど消費電力も増加するため、適温に空調された状態を保つためにエアコンをつけっぱなしにする方が良い場合もあるのです。
例えば、コンビニエンスストアなど24時間営業の建物の場合は、運転しっぱなしにした方が消費電力を抑えられる場合があります。一方、建物に30分以上誰もいなくなるなど営業時間が限られる場合であれば、運転しっぱなしにした場合の消費電力よりも起動時の消費電力の方が小さいため、こまめに消す方が節電になります。
エアコンの消費電力を抑えるコツ

エアコンの消費電力を抑える主なコツは次の8つです。
- 定期的にフィルター掃除とメンテナンスをする
- 設定温度と風量を最適化する
- 短時間の外出はつけっぱなしにする
- 自動運転モードの活用
- 室内環境を改善する
- 適切な場所にエアコンを設置する
- 遮熱・断熱の対策をする
- 古いエアコンの買い替え
それぞれについて以下で解説します。
3-1.定期的にフィルター掃除とメンテナンスをする
エアコンのフィルターがホコリなどで目詰まりしていると効率が低下するため、1週間から2週間に1回程度は掃除しましょう。フィルター掃除の手順は次の通りです。
- フィルターを外して表側から掃除機でホコリなどを吸い取る
- 裏側から歯ブラシなどで優しくこすって汚れを浮かせる
- 裏側からシャワーを当ててホコリを洗い流す
- 水分を拭き取って陰干しし、しっかり乾燥させてから本体に戻す
また、室外機周辺が風通しの良い環境になっているか、周りに吸排気を妨げるような物が置かれていないかもチェックしましょう。加えて、年に1回程度はプロのエアコンクリーニングを利用し、エアコン内部までメンテナンスすることも重要です。
エアコン内部の汚れについてはこちらの記事をご覧下さい。
エアコンのカビ、臭い、電気代…エアコンを洗浄して解決! | ダイキンHVACソリューション東京
3-2.設定温度と風量を最適化する
エアコンの設定温度や風量を適度に調整することで消費電力を抑えられます。さらに、風量を「自動」に設定することで効率的な室温調整が可能です。加えて、風向きを冷房時は上向き、暖房時は下向きに設定しておくとエアコンの効きが良くなります。
設定温度と風向きの最適化だけで十分な効果を感じられない場合は、扇風機やサーキュレーターで室内の空気を循環させるのもおすすめです。
3-3.自動運転モードの活用
自動運転モードとは、エアコン本体や室外機に内蔵されている温度・湿度センサーでリアルタイムの室温や湿度を測定し、設定温度への調整を効率化するために自動で冷房・暖房・除湿などのモード切り替えや風量調整を行う機能です。
自動運転モードを活用すれば、室温や風量などを最適化する必要がある時に、その都度、手動で調整する必要がなくなります。また、温度調整が自動化されてエアコンの効率が上がることにより、無駄な消費電力の削減につながることも自動運転モードのメリットです。
3-4.室内環境を改善する
消費電力を削減するためには室内環境の改善も重要です。
例えば、オフィスなどはOA機器が発する熱で室温が上がりやすく、エアコンの消費電力増加につながります。そのため、使用していない時はOA機器の電源を切ったり省エネモードに設定したりすると良いでしょう。
また、湿度が高いと汗が蒸発しにくいため、設定温度に空調できていても、あまり涼しく感じられません。その場合は除湿器を併用したり、サーキュレーターで室内の空気を循環させたりといった対策をとってみて下さい。
3-5.適切な場所にエアコンを設置する
エアコン室内機・室外機の設置場所は消費電力にも影響を及ぼすため、できるだけ適切な場所に設置するようにしましょう。
室内機の設置に最適な場所を選ぶ主なポイントは次の通りです。
- 空気の流れが良い
- 部屋の短辺(長辺に向かって送風できる位置)
- 外壁に面した窓の近く
- 室外機との距離が短い
- 正面や真下に空気の流れを妨げる物がない
室外機の設置に最適な場所を選ぶ主なポイントは次の通りです。
- 直射日光が当たらず風通しが良い
- 周りに十分なスペースがあり、吸排気を妨げる物がない
3-6.遮熱・断熱の対策をする
エアコンの消費電力を削減するためには、室内外の遮熱・断熱対策をすると効果が期待できます。
例えば、窓は外気温の影響を受けやすくエアコンの効率に影響するため、窓に遮熱・断熱対策を行うと良いでしょう。具体的には、二重窓にする、遮熱タイプの窓ガラスにするなどの方法があります。それが難しい場合は窓にブラインドや遮光カーテンを使用する、窓ガラスに断熱シートを貼るなどの対策も可能です。
また、室外機の温度上昇を抑える遮熱シールもあります。
3-7.古いエアコンの買い替え
購入してから10年以上が経過した古いエアコンを使用している場合は、最新型の機種に買い替えることで消費電力の削減が可能です。
エアコンの寿命は一般的に10年〜15年程度と言われています。それを過ぎると冷媒ガス漏れやフィルターの劣化、送風ファンやコンプレッサーの故障など、さまざまな不具合が生じやすくなり、冷暖房効率も下がるため消費電力が増加します。
エアコンから異臭や異常音が出ていたり、冷暖房効果が低下していたりしたら買い替えのタイミングです。最新型の機種は新品で不具合が少ないだけでなく省エネ性能も向上しているため、節電になります。
省エネ効果の高いエアコンの選び方

省エネ効果の高いエアコンの選び方として、次の3つを押さえておきましょう。
- エネルギー効率(APF・COP)の確認
- スペースの広さに適した能力を選ぶ
- 省エネ機能がついている機種を選ぶ
それぞれについて以下で詳しく解説します。
4-1.エネルギー効率(APF・COP)の確認
エアコンを選ぶ基準として重要なのがエネルギー効率(APF・COP)です。
APF値とは、エアコンの運転効率を建物の用途や使用期間を設定した上で評価したもので、実際の使用に近い指標と言われています。APF値が大きいほど省エネ性能が高いことを示します。APF値の計算式は次の通りです。
APF値=1年当たり必要となる冷暖房能力(kWh) ÷ 機種ごとの年間消費電力量(kWh)
COP値とは、一定の温度条件で運転した場合の1kW当たりの冷暖房能力を示す指標です。COPには季節によって異なるエアコンの運転状況は反映されていないため、2006年以降はCOP値に加えてAPF値の表示が義務付けられています。
APF値が高い機種のエアコンを選ぶことで年間の電気代の節約が可能です。また、エネルギー消費効率ラベルを確認し、星の数が多い製品を選ぶとさらに安心できます。
4-2.部屋の広さに適した能力を選ぶ
設置場所の広さに適したエアコン能力の目安は次の通りです。
- 10坪(約33㎡):5〜3.6kW
- 20坪(約66㎡):5〜6.0kW
- 30坪(約100㎡):3〜8.0kW
- 50坪(約165㎡)以上:10kW以上
ただし、設置場所の用途によって熱負荷(空調負荷)が異なります。例えば、「人の出入りが多く外気が侵入しやすい店舗」「厨房機器などがある飲食店」などでは、より大きな能力のエアコンが必要です。
そのため、設置場所に適した馬力を求める時は、設置場所の熱負荷も計算に入れる必要があります。さらに、部屋の断熱性や天井の高さ、日当たりなども考慮しましょう。設置場所に対してエアコン能力が大き過ぎる場合は無駄な消費電力を生み、逆にエアコン能力が小さ過ぎると冷暖房効率が悪くなります。
4-3.省エネ機能がついている機種を選ぶ
省エネ機能付きの機種を選ぶことで消費電力の削減が可能です。エアコンに搭載されている主な省エネ機能にはインバーター制御や人感センサー機能などがあります。
インバーター制御とは、エアコンの心臓部にあたる圧縮機を的確にコントロールして無駄な電力消費を抑えながら運転する機能です。また、人感センサー機能では、人体の発する熱によって人の動きを検知し、人がいるエリアを認識して効率的に運転します。
その他の省エネ機能としてはダブルマイクロチャネル熱交換器の搭載やフォーシーズン制御、スイングコンプレッサーなどがあります。
エアコンの消費電力に関するよくある質問

ここでは、エアコンの消費電力に関するよくある質問を3つ取り上げて解説します。
- サーキュレーターや扇風機を併用すると節電になる?
- 古いエアコンを修理するより買い替えた方がいい?
- フィルター掃除はどれくらいの頻度で行うべきですか?
5-1.サーキュレーターや扇風機を併用すると節電になる?
扇風機は柔らかい風を広範囲に届けることが主な機能ですが、サーキュレーターはまっすぐな風を遠くまで送って空気を循環させることが得意です。エアコンとサーキュレーターや扇風機を併用すると節電効果を期待できます。
サーキュレーターや扇風機で室内の空気を効率的に循環させることにより、設定温度を控えめにしても快適な体感温度にすることが可能です。サーキュレーターの運転にも電気を消費するものの、エアコンの設定温度を変えることで増える消費電力よりも節電になります。
冷房時は、エアコンを背にしてサーキュレーターを置くと床付近にたまった冷気を部屋全体に循環させることが可能です。暖房時はサーキュレーターをエアコンの対角線上にエアコンに向けて置くと、天井付近にたまったあたたかい空気が低い位置まで届きます。
5-2.古いエアコンを修理するより買い替えた方がいい?
10年以上使用しているエアコンは修理よりも買い替えがおすすめです。部品をエアコンメーカーが保有している期間は10年が目安で、それを過ぎると修理に必要な部品が入手できなくなる可能性があります。修理できたとしても、古いエアコンは不具合が出やすいため、また故障するかもしれません。
また、最新のエアコンは省エネ性能が大幅に向上しているため、買い替えて電気代を抑える方が結果的に節約できる可能性もあります。加えて、最新機種に買い替えれば快適性が向上し、環境への配慮もできる点もメリットです。
5-3.フィルター掃除はどれくらいの頻度で行うべきですか?
エアコンを毎日使用している場合、2週間に1度がフィルターを掃除する頻度の目安です。
フィルターに汚れがたまった状態で運転していると空調能力が下がるため、エアコンの効率が低下し、消費電力は増加してしまいます。また、ホコリやカビなどで汚れた空気がエアコンから室内に吹き出されると健康への悪影響や悪臭などの心配もあるため、こまめにフィルターの掃除をすることが大切です。
自動でフィルターを掃除する機能がついたエアコンもありますが、その場合でも時々は人の手で掃除する方が良いでしょう。
ダイキンの省エネ業務用エアコン「FIVE STARシリーズ」
ダイキンの「FIVE STARシリーズ」は優れた省エネ性能を備えた業務用エアコンです。
ダブルマイクロチャネル熱交換器の搭載により、省エネ性と室外機のコンパクト性の両立に成功しました。また、冷媒温度を最適化するフォーシーズン制御機能は、約30,000パターンの運転状態の中から最も効率的な冷媒制御パターンを自動で選択する仕組みです。
加えて、設定温度に到達してからの室温を効率的に維持するスイングコンプレッサーや、人検知センサーと床温度センサーの搭載によるEco自動運転のセンシング機能も搭載しています。
「FIVE STARシリーズ」を15年前のインバーター機と比較した場合、最大で約63%(当社比)の省エネ効果が出る可能性があります。
6-1.自動おまかせ省エネ ダイキンスマートAI
自動おまかせ省エネ ダイキンスマートAIは、自動で最適な制御を行うことで消費電力を抑える機能です。室内外の温度や湿度、床温度、人の在室などをセンサーで検知し、それらの情報を元にAIが演算して最適な制御を予測して、自動で消費電力をコントロールします。
また、毎日の運転負荷の学習により当日の最大出力を予測して自動で制御するスマート学習節電機能で年間約4%の省エネが可能です。
さらに、人検知センサーと床温度センサーの情報によってAIが快適性と省エネ性を両立した最適な運転を行うおまかせエコ(Eco全自動)機能では、風向きや風量の自動調節により年間約15%の省エネを見込めます。
エアコンの買い替えで省エネを目指そう
エアコンの消費電力は外気温と設定温度の差や設置場所の広さ、断熱性、エアコンの省エネ性能などによって変わります。最新機種のエアコンは省エネ性能が高く電気代の節約につながるため、現在の機種を10年以上使い続けている場合は買い替えを検討してみましょう。
業務用エアコンを買い替えるならぜひ、業界トップクラスのAPF値の機種を展開しているダイキンにお問い合わせ下さい。