選び方

業務用エアコンと家庭用エアコンの違いは?最適な選び方を紹介

新しいオフィスや店舗などを構える際、エアコン選びを間違えると十分に空調が効かなかったり、無駄なコストが発生したりする恐れがあります。業務用エアコンと家庭用エアコンの特徴を理解して、最適なエアコンを選びましょう。
本記事では、業務用エアコンと家庭用エアコンの違いやエアコンの選び方について紹介するので、ぜひ参考にして下さい。

Index
  1. 1.エアコンには業務用と家庭用がある
  2. 2.業務用エアコンと家庭用エアコンの違い
  3. 3.業務用エアコンのメリットとデメリット
  4. 4.家庭用エアコンのメリットとデメリット
  5. 5.業務用か家庭用か?必要なエアコンの見分け方
  6. 6.エアコン選びは慎重に
  7. 7.オフィス・店舗用エアコンはお問い合わせ下さい

1.エアコンには業務用と家庭用がある

1-1.業務用エアコンとは

業務用エアコンとは、オフィスや工場、公共施設、飲食店などに設置することが多いエアコンの種類を指します。業務用エアコンが適している設置場所は、面積が広い、熱源がある、人の出入りが多いなど、室温と湿度を調節するために大きな出力が必要とされる空間です。

また、業務用エアコンは家庭用エアコンに比べて長時間、連続して稼働する場合が多いため耐久性が求められます。それから、業務用エアコンは家庭用エアコンよりも馬力(室温を調節する能力)が大きく、それに比例して出力も多いことが特徴です。

業務用エアコンは、使用する電源も家庭用エアコンと異なります。業務用エアコンを運転するためには、三相200V、または、単相200V(単相3線式)の電源が必要です。家庭よりも多く電源を必要とする点が特徴です。

1-2.家庭用エアコン(ルームエアコン)とは

家庭用エアコンとは、一般家庭でよく使われている空調設備を指します。家庭用エアコンは一般的に、戸建て住宅やマンション、アパートなどの集合住宅に設置されています。
家庭用エアコンには「壁掛形ルームエアコン」と「ハウジングエアコン」の2種類があります。壁掛形ルームエアコンは壁に掛ける形状をしたエアコンで、家庭用エアコンのほとんどを占めるタイプです。一方、天井や壁に埋め込むなど、壁掛形以外の家庭用エアコンを「ハウジングエアコン」と呼びます。

2.業務用エアコンと家庭用エアコンの違い

ここでは、業務用エアコンと家庭用エアコンについて、以下の項目ごとに違いを紹介します。

  • 室内機形状の違い
  • 空調能力・馬力の違い
  • 設置方法・工事期間の違い
  • 電力の違い
  • 耐久性の違い
  • 運用コストの違い

2-1.室内機形状の違い

業務用エアコンと家庭用エアコンは、室内機の形に違いがあります。まずは、それぞれの主な形を見ていきましょう。

【業務用エアコン】

  • 天井埋込カセット形(1方向・2方向・4方向)
    室内機を天井に直接取り付けるタイプ
  • 天井埋込ビルトイン形
    室内機を天井の中に埋め込んで設置するタイプ
  • 天井埋込ダクト形
    室内機を天井の中に設置し、空気を送る管(ダクト)によって複数箇所から温風・冷風を吹き出せるタイプ
  • 天吊露出形
    室内機が天井の下に露出しているタイプ
  • 床置形
    室内機を床の上に設置するタイプ
  • 壁掛形
    室内機を壁に取り付けるタイプ

【家庭用エアコン】

  • 壁掛形
    室内機を壁に取り付けるタイプ
  • ハウジングエアコン
    壁掛形以外の家庭用エアコンの総称で、天井埋込カセット形(1方向・2方向)や床置形、天袋埋込形など

エアコンメーカーによっては、上記以外の形がある場合もあります。一般的に業務用エアコンの方が形状の種類が豊富です。
また、家庭用エアコンよりも業務用エアコンの方が室内機のサイズは大きく、大規模なスペースを冷暖房するために使用されます。

2-2.空調能力・馬力の違い

空調能力(出力)も、業務用エアコンと家庭用エアコンで異なる点です。エアコンの空調能力は「kW(キロワット)」または「馬力」という単位で表します。

家庭用エアコンは約3馬力までのものが多いのに対し、業務用エアコンは1.5~10馬力までラインアップがあります。
「kW」とは、冷暖房する空間の面積(m²)と1m²当たりの概略熱負荷(W/m²)を掛けて1,000で割った数値です。また、「馬力」とは元々、75kgの荷物を1秒当たり1m動かせる力のことで、エアコンの空調能力を表す場合、1馬力は約2.8kWに相当します。
業務用エアコンは家庭用エアコンよりも広範囲で熱負荷の高い場所の空調を行う必要があるため、より高性能のコンプレッサーや熱交換器、送風機などを備えています。それに対し、家庭用エアコンは業務用より空調能力は低い傾向があるものの、高い省エネ機能を備えた製品が増えてきています。

2-3.設置方法・工事期間の違い

業務用エアコンと家庭用エアコンでは、設置方法や工事期間にも違いがあります。
家庭用エアコンは壁掛形ルームエアコンを選ばれることが多く、壁に配管を通す穴さえ開いていれば、設置方法は比較的シンプルです。早ければ2〜3時間、遅くとも数時間以内に設置工事が終わります。それに対し、業務用エアコンの設置には、1台当たり6時間から8時間が必要です。
業務用エアコンはサイズが大きいため、工事を始める前に搬入経路やスペースの確保、広範囲の養生などの準備が必要です。
また、天井内の埋め込みやダクトの配置、設置後の化粧パネルやリモコンの取り付けなどの工程もあります。エアコンを入れ替えで設置する場合は、古いエアコンを撤去する時間もかかるため、時間に余裕を持って手配しましょう。
エアコンの設置には専門的な知識と技術が必要です。家庭用エアコン、業務用エアコン共に、きちんとした専門業者に設置を依頼しましょう。

2-4.電力の違い

業務用エアコンと家庭用エアコンでは使用する電源(電力・電圧)が違うため、電力会社と契約すべきプラン内容も異なります。
家庭用エアコンは単相100V、もしくは単相200V(単相2線式・単相3線式)の電源を使用します。契約プランは従量電灯です。
それに対し、業務用エアコンは単相200V(単相3線式)、もしくは3相200Vの電源を使用します。契約プランは動力プラン(低圧電力)または高圧契約です。
また、電力会社と動力ブラン(低圧電力)契約や高圧契約をするには、あらかじめ業務用エアコンを設置し、業務用エアコン用ブレーカーや配線工事を完了していることが条件になります。

新築の場合は、
①オフィスや店舗、工場など業務用の建物を建設
②業務用エアコンの設置と配線工事
③電力会社とプラン契約

上記の流れが一般的でしょう。
そのため、一般住宅に業務用エアコンを設置する場合や、一般住宅を業務に転用して業務用エアコンの設置が必要になる場合などは、この順序に注意して下さい。

2-5.耐久性の違い

業務用エアコンと家庭用エアコンでは、耐久性も異なります。
一般的にエアコンの寿命は10年程度と言われています。
使用する頻度や環境によっても耐用年数は前後するとはいえ、一般的に業務用エアコンは外装や内部構造もしっかりできているため、熱のこもりやすい現場や長時間つけっぱなしにするような場所にでも耐えられるようにできています。そのため、家庭用ではすぐに調子が悪くなってしまうような空間でも壊れにくく長く使用することができます。
ただし、飲食店や工場で使用する場合は、空気中の油やゴミなどを吸い込むためフィルターが詰まりやすく、耐用年数は短くなりやすいです。
フィルターの手入れをこまめに行うことで多少の対策はできるものの、フィルターは5年程度で交換する必要があります。また、業務用エアコンのモーターは8年程度、コンプレッサーは10年程度が交換時期の目安です。


ダイキンのエアコンは業務用、家庭用共に様々な環境や使用を想定した試験を実施し、品質にもこだわりを持って設計しています。
雨、風、厳しい暑さや寒さ、地震など300以上の厳しいテストをクリアしたエアコンのみご用意。
業務用エアコンは購入後10年を過ぎると、部品がなくなって修理ができなくなる可能性もあります。各メーカーごとに部品の最低保有期間を定めていますが、ダイキンエアコンの補修用性能部品の保有期間は製造打ち切り後10年です。

2-6.運用コストの違い

業務用エアコンと家庭用エアコンでは、運用コスト、つまり、電気代も異なります。使用する電力量が違うことに加えて、上で述べたように、業務用エアコンと家庭用エアコンでは電力会社との契約プランも異なるためです。

家庭用エアコンで使用する従量電灯は、基本料金が安い代わりに、電力単価は高めに設定されています。逆に、業務用エアコンで使用する動力プラン(低圧電力)の場合、基本料金は従量電灯より少し高い場合もありますが、電力単価は安めです。そのため、長時間使用するような会社や工場、学校などでは業務用の方が総合的に安くなるのでお得になります。
広範囲を冷暖房するためには、複数台の家庭用エアコンを使用するよりも1台の業務用エアコンを使用する方が、電気代を抑えやすい場合があります。さらに、省エネ性能が高い業務用エアコンを使用すれば、より使用電力量を抑えることが可能です。

3.業務用エアコンのメリットとデメリット

業務用エアコンにはメリットが多いものの、デメリットについても知っておくことが大切です。ここでは、業務用エアコンを導入するメリットとデメリットについて、それぞれ紹介します。

3-1.メリット

業務用エアコンを導入する第一のメリットは、光熱費を抑えられることです。上でも述べたように、業務用エアコンで契約する動力プラン(低圧電力)は従量電灯よりも電力単価が安いため、大量の電力を消費するほど差額も大きく、お得になります。

第二のメリットは、熱負荷の大きい場所でも高い馬力を維持できることです。家庭用エアコンは一般家庭のリビングでの使用を想定してつくられているため、人の出入りが多く外気が入りやすい店舗や熱源の多い飲食店の厨房などで使用すると、馬力不足により設定温度の維持が難しくなります。その点、業務用エアコンは熱負荷の大きい環境を想定してつくられているため、無理なく設定温度を維持できます。

第三のメリットは、家庭用エアコンよりも耐久性が高く、故障しにくい点です。業務用エアコンは熱負荷の大きい場所で連続運転することを前提につくられているため、家庭用エアコンでは故障につながるようなハードな使い方にも耐えられます。

3-2.デメリット

まず、業務用エアコンはサイズが大きいため、家庭用エアコンより広い設置スペースを確保する必要があります。特に、天井や壁に多少の余裕がないと、設置が難しい場合もあるでしょう。
次に、業務用エアコンは本体価格が家庭用エアコンに比べ高額な場合があり、工程の多さから設置費用も高くなるため、導入時の初期費用がかかる可能性があります。
それから、工程が多い分、設置工事に時間がかかる点も、業務用エアコンのデメリットといえるでしょう。家庭用エアコンの設置が1時間から数時間程度で終わるのに対し、業務用エアコンの設置には6時間から8時間かかります。

4.家庭用エアコンのメリットとデメリット

家庭用エアコンの導入にも、メリットとデメリットが存在します。それぞれについて、以下で見ていきましょう。

4-1.メリット

家庭用エアコンを導入する第一のメリットは、設置工事の工程が少なく工事時間もそれほど長くかからないため、手軽に設置できることです。家庭内用エアコンなら、2〜3時間から数時間程度で設置が完了します。
また、電力会社と契約している現在のプランが従量電灯(単相200V・単相3線式)の場合、プラン変更不要ですぐに導入できる点も、家庭用エアコンのメリットといえるでしょう。
それから、家庭用エアコンは業務用エアコンよりもサイズが小さいため、スペースが限られている場合でも設置しやすい点もメリットです。

4-2.デメリット

家庭用エアコンのデメリットは、業務用エアコンと比べて冷暖房能力が高くないことです。家庭用エアコンは、一般家庭のリビングなど人の出入りや外気との接触が少ない環境を想定してつくられています。そのため、家庭用エアコンをオフィスや店舗等の広い空間に設置すると、設定温度を維持するための能力が不足する場合が多いのです。
加えて、同じ空間に複数台の家庭用エアコンを導入すると、それぞれのエアコンは複数台で動いていることを認識できないため、無駄な動作が増えてしまう可能性があります。その場合、エアコンの消耗が早くなり、無駄な電気代がかかることもデメリットです。

5.業務用か家庭用か?必要なエアコンの見分け方

業務用エアコンと家庭用エアコンのどちらを選ぶべきか、迷っている人もいるかもしれません。必要なエアコンを選ぶポイントは、主に次の2つです。

  • 用途や場所に合わせて選ぶ
  • 人の出入りに合わせて選ぶ

それぞれのポイントについて以下で解説します。

5-1.用途や場所に合わせて選ぶ

エアコンを効率的に使用するためには、設置する用途、場所の広さや形状などに合わせて、適切なタイプを選ぶのがおすすめです。
業務用エアコンは、オフィスや飲食店、店舗、ビル、大型施設など、連続運転時間が長い場所に適しています。一方、家庭用エアコンは、戸建て住宅や集合住宅など、それほど広くない居住用の建物に向いています。
用途や場所に合わないエアコンを設置すると、無駄な電力を消費したり、快適に使えなかったりする可能性があります。例えば、商業施設の仮眠室や自宅の寝室に業務用エアコンを設置しても、それほど馬力を必要としないばかりか、動作音をうるさく感じるかもしれません。

5-2.人の出入りに合わせて選ぶ

エアコンを選ぶ際は、設置場所の人の出入りや排熱の度合いを考慮することも重要です。人の出入りが多ければ室温は外気温の影響を受けやすくなり、設定温度に調整するために高い馬力が必要になります。また、エアコンの冷房能力を決めるのはエアコンにかかる熱負荷であるため、パソコンや調理器具などが大量にあって排熱が多い場所は、より高い冷房能力を必要とします。
よって、厨房が併設された飲食店や、社内外の人の出入りが多く大量のパソコンなど熱源が多いオフィスに適しているタイプは、業務用エアコンです。逆に、熱源が少なく、人の出入りが少ない場所には、家庭用エアコンが適しています。

6.エアコン選びは慎重に

場所や目的に合わないエアコンを設置してしまうことにはいくつものリスクが存在するため、慎重に、正しいエアコンを選ぶようにしましょう。
例えば、オフィスの部屋面積だけを考慮して何台もの家庭用エアコンを設置した場合、エアコン自体は複数台で運転していることを認識できません。そのため、無駄な動作が多くなることにより、ブレーカーが頻繁に落ちたり、余分な電気代がかさんだり、故障しやすくなったりすることが想定できます。
また、家庭用エアコンは人の出入りやドア、窓の頻繁な開閉などは想定せずにつくられているため、オフィスなどに設置しても、冷暖房能力が不足する可能性もあります。そうなれば、結局は業務用エアコンに買い替えることになるかもしれません。
お部屋の広さや用途にあった能力のエアコンを選ばないと効きが悪くなったり、電気代がかかってしまったり、エアコンに負荷がかかり故障に繋がる可能性があります。
空調は一度設置すると長く使用していただくことになりますので、きちんと専門業者に依頼しましょう。

7.オフィス・店舗用エアコンはお問い合わせ下さい

ダイキンは、日本初の業務用エアコン(パッケージ形エアコン)を開発した会社です。それから約70年もの長い年月をかけて、空調メーカーとしての実績と製品の品質を培ってきました。
初期費用や修理費を抑えたい方にはダイキンの業務用エアコンのサブスクがおすすめです。
契約期間内なら、万一故障しても修理費が0円になり、長い目で見ればコストカットにつながります。また、工事費用や機器費用が月額料金に含まれているため、初期費用もかかりません。

 

ダイキンのエアコンについては、ダイキンHVACソリューション東京へ、お気軽にお問い合わせ下さい。
ショールームもあるため、実際に製品を見ながら、空調のプロが貴社に最適な商品や設置場所をご提案することも可能です。