選び方

倉庫にも空調は必要?メリットや重要な機能、選び方について

近年、夏場の平均気温は上昇し続けており、倉庫に保管した物品の品質維持や環境整備のために空調を導入する企業も少なくありません。そこで本記事では、倉庫用空調の導入を検討している方に向けて、倉庫に空調を導入するメリットや選ぶ際のコツなどを解説します。倉庫用空調の導入事例も紹介しているので、合わせて参考にしてください。

 

Index
  1. 1.倉庫にも冷暖房は必要?
  2. 2.倉庫に適したエアコンの機能
  3. 3.倉庫用空調の選び方
  4. 4.スポットクーラーを設置すると、さらに快適になる
  5. 5.ダイキンの設備用・工場用エアコンの特徴
  6. 6.ダイキン設備用・工場用エアコンの導入事例
  7. まとめ 設備用・工場用エアコンのご相談は、ぜひダイキンへ

1.倉庫にも冷暖房は必要?

一般的な倉庫には冷暖房設備が整備されていないケースも少なくありません。しかし、近年は倉庫にも冷暖房設備を導入する企業が増えています。本章では、倉庫にも冷暖房機器の導入が必要とされる理由を解説します。

1-1 夏場の平均気温は年々上昇しているため

出典:国土交通省「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2023年)」

※図表の青点は6~8月の平均気温
※図表の赤線は平均気温偏差が上昇傾向を示しているトレンドライン

国土交通省が集計した『日本の夏平均気温偏差』の推移(1898~2023年)からも分かるとおり、日本の夏は年々厳しい暑さが続いています。気温上昇で職場環境が悪化した企業では、離職による人手不足が拍車をかけています。

とくに、倉庫を持つ企業の場合、従業員にとって倉庫内で長時間作業するのは非常に過酷であるため、空調設備を導入して職場環境を改善することが目下の課題です。

1-2 倉庫は熱がこもりやすいため

倉庫の夏場は熱がこもりやすい傾向があります。物流倉庫の多くは金属製の折板屋根が採用されているケースが少なくありません。夏場は直射日光による輻射熱で屋根の金属板が熱せられ、屋根の表面温度が70℃近くまで上昇します。

屋根に遮熱シートを施工することで倉庫内が熱くなるのを防止できますが、暑さ対策が行われていない場合は倉庫内にも屋根が吸収した熱が伝わり、熱くなります。室温が上昇した倉庫内で長時間作業をすると、体調不良や熱中症のリスクが高まるため注意が必要です。

厚生労働省が定める暑さの基準(WBGT)は軽作業が29~30℃、中程度の作業が26~28℃、激しい作業になると22~26℃とされています。倉庫内の作業は中程度の作業に該当するため、従業員が熱中症になるリスクを未然に防止するためには、倉庫内の温度を26~28℃に維持することが重要です。

 

参考:厚生労働省「暑さ指数(WBGT値)」

1-3 広くて環境のコントロールがしづらいため

倉庫の大きさにもよりますが、物流倉庫は天井が高いうえに面積が広く、倉庫内の温度・湿度の管理が難しい構造です。冷房機器を入れても倉庫の隅から隅まで冷風が行き渡りにくく、冷房の効きが悪いと感じる従業員も多いでしょう。

倉庫内での環境を改善して作業効率アップにつなげるためには、効率良く倉庫内の温度コントロールができる空調設備の導入が欠かせません。

1-4 従業員の健康とモチベーション維持のため

冷房設備を導入して倉庫内の環境を良くすることは従業員の健康維持だけでなく、モチベーションアップにつながります。冷房設備が整備されていない場合、暑さで従業員の集中力が低下し、仕事へのモチベーションの低下に影響を及ぼす恐れがあります。

高温の環境下で長時間の作業を続けることで、熱中症で亡くなるという最悪のケースが起こるかもしれません。体調不良にならなくても、従業員の集中力低下によってミスやトラブルが発生するリスクも高まってしまいます。

2.倉庫に適したエアコンの機能

天井が高く面積が広い倉庫には、こまめに温度調整ができる機能や空気清浄機能を搭載している空調設備がおすすめです。ダイキンでは、一台で-35~20℃まで温度調整が可能な製品があります。

主に、保管する製品ごとに適した温度に設定する必要がある倉庫や、時期で保管する製品が変わる倉庫に適しています。また、倉庫に薬品・食品・電子機器などを保管する場合は、クリーンルーム用のエアコンを選ぶと良いでしょう。

3.倉庫用空調の選び方

倉庫用空調は、種類・タイプや能力、費用の2つの観点で考えると自社の倉庫に適した空調設備を選べます。本章では、2つの観点から倉庫用空調を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。

3-1 ①能力

倉庫用空調の能力(kW)は、エアコンの冷却性能や暖房性能を示す指標です。倉庫用のエアコンは、10kW程度から50kW以上まで幅広いラインナップが取りそろえられています。エアコンの能力の数値が大きくなるほど、単位容積あたりの冷却力が大きいといえます。

3-2 ②費用

倉庫用空調を導入する際にかかる費用は主に、導入コストとランニングコストの2つです。導入コストは大きく分けて、エアコン本体の購入費用と設置工事にかかる費用があります。エアコン本体の購入費用は機能の多さや冷却性能の高さに比例して高くなります。

倉庫用空調のランニングコストには電気料金やメンテナンス費用、機器の洗浄費用などがあります。

4.スポットクーラーを設置すると、さらに快適になる

倉庫用空調を導入する選択肢はエアコンだけではありません。特定の場所のみを冷却したい場合は、業務用スポットクーラーの導入がおすすめです。スポットクーラーはエアコンのように冷風を送る機器で、限られた範囲の場所やそこにいる人を冷やせる特徴があります。本体にはダクトが付いており、手動で高さや角度の調節が可能です。

スポットクーラーとエアコンはヒートポンプ式の仕組みを採用して空気を冷却し、冷風を排出することが共通点です。ただし、スポットクーラーはエアコンのように室外機を設置する必要がありません。エアコンは室内機と室外機を設置して暖かい空気を室外に放出しますが、スポットクーラーは本体に吹出口と排気口がある構造のため、室外機を設置しなくても大丈夫です。スポットクーラーのなかには、室外機を設置するセパレート型もあります。

4-1 スポットクーラーのメリット

スポットクーラーを倉庫用空調として導入するメリットは、冷やしたい場所を短時間で冷やせることです。強い風速で特定の場所や人を冷やすため、冷却に時間がかかりません。

また、冷やしたい場所へ簡単に移動できることもスポットクーラーのメリットの1つです。電源が取れる場所であればどこへでも動かせるため、工事をせずに設置できます。付属品の取り付けは、設置が初めての人でも簡単に行えます。

スポットクーラーは締め切られた空間でも使用可能であることから、倉庫内での利用におすすめです。フィルターの清掃や点検は従業員で対応できるため、メンテナンスに手間がかかりません。

4-2 スポットクーラーのデメリット

スポットクーラーを倉庫に導入するデメリットは、特定の場所や人をピンポイントで冷やす設備のため、空間全体の温度・湿度管理に向いていないことです。また、室外機の機能も本体に搭載された設計であることから、稼働させるとエアコンの室外機のような音が室内に発生します。集中力を必要とする静かな作業環境への設置はおすすめできません。

スポットクーラーは冷やしたい場所は冷風で冷やせるものの、同時に排出する温風によって室温が上昇する可能性があります。そのうえ、ドレンタンクには冷却時に発生した水が溜まる設計のため、溢れる前に捨てる必要があり手間がかかります。スポットクーラーは設置工事が不要で自由に移動できますが、置き場所を確保しなければならないこともデメリットの1つです。

5.ダイキンの設備用・工場用エアコンの特徴

倉庫内の保管物の種類や現場の環境によって、選ぶべき製品・部材は異なります。例えば、冷凍食品を保管する場合は、低温の環境下でも稼働できる空調設備が必要です。荷物が空調の気流を遮るのを防止するなら、天井吊形や天井埋込ダクト形が適しています。

5-1 BCPにも対応した耐久性の高い室外機

ダイキンの設備用・工場用エアコンは、BCP対応の優れた耐久性を持つ室外機を採用しています。BCPとは、自然災害や火災などの緊急事態が発生した際に、最小限の被害に留めて事業継続のために平常時から対策を取っておく事業継続計画のことです。

ダイキンで取り扱っているエアコンは独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」によって、震度7相当の大地震の揺れにも耐えられるという評価を得ている機種があります。また、風速60m相当の強風にも耐えられる設計で、強風や台風などが発生しても倒れない強度があることも特徴の1つです。

5-2 ひずみにくい骨組みで、転倒や破損を防止

ダイキンのエアコンは、転倒や破損の防止に有効な構造に設計されています。骨組みの大きな特徴は、前後の揺れを抑制するトラス形状の採用と2軸のビスで固定していることです。

トラスは三角形の形状を活かした構造を指します。エアコンの骨組みの四隅をトラス形状で支えることで、前後の揺れにも耐えられるように工夫されています。また、縦に2つのビスで留めているため、前後だけでなくさまざまな角度で発生する揺れの抑制に有効です。ダイキンのエアコンに用いられている技術は、ひずみにくい骨組みを実現したことでエアコンの転倒や破損を防ぎ、長持ちしやすい構造になっています。

5-3 施工のしやすさに配慮した、機能的なデザイン

ダイキンの設備用・工場用エアコンは、設置しやすい機能的なデザインに設計されています。前面のパネルは1枚で覆われており、余計な目地がなく見た目がすっきりとしているデザインが特徴です。前板の仮掛け部は最上部に配置されているため、前板の取り外し作業をスムーズに行えます。前板は流線形状になっており、流線部分が取り外しの際に取っ手として利用できます。

電装品BOXは前板を1枚取り外すだけでアプローチできるのでメンテナンス時に便利です。また、点検口は前板に追加されているため、前板を外さなくても制御基板上での作業を簡単に行えます。

5-4 高い省エネ性

ダイキンの設備用・工場用エアコンは、省エネ性が高い特徴があります。高い省エネ性を実現できた理由は、熱効率が高いマイクロチャネル熱交換器を採用しているためです。マイクロチャネル熱交換器はエアコンに不可欠な部品の1つで、ダイキンによる世界初の技術が数多く盛り込まれている熱交換器です。

マイクロチャネル熱交換器の採用により、伝熱管の周囲を流れる空気の流れが改善されて熱交換効率が向上しました。具体的には、フィンから空気へ、冷媒から伝熱管へ伝わる熱伝達率が向上し、フィンと伝熱管の接触熱抵抗の低減につながったことで熱効率の高いエアコンの開発に成功しています。

5-5 法令遵守をサポート

ダイキンでは、エアコンと室外機の機能性の高さだけでなく、法令遵守をサポートする冷媒漏えい検知機能という機能が搭載されています。冷媒漏えい検知機能は、室外機に内蔵されたセンサーがエアコンの冷媒漏れを毎日監視する機能です。

別途で有償のサービスを契約すれば、センサーがエアコンの冷媒漏えいを検知した際にメールで管理者に通知してくれるため、メンテナンスや修理に素早く対応できます。冷媒漏えい検知システムに対応する機種と非対応の機種があるので、冷媒漏えい検知機能や有償サービスを利用したい場合は事前に適合対象機種を確認することをおすすめします。

5-6 ダイキンならではの「冷媒温度」カスタマイズ

ダイキンのエアコンならではの特徴として、冷媒温度をカスタマイズできることが挙げられます。ダイキンのエアコンには冷媒温度をコントロールできる機能が搭載されています。冷媒温度の主な仕様は次の4パターンです。

● 自動:ひかえめ冷風(外気温度に合わせて自動で冷媒温度を調節)
● 低め(冷房):しっかり冷風(立ち上がり時に素早く冷風を送る)
● 低め(強制除湿):さらっと除湿(スイッチ1つで最大能力の除湿)
● 高め(暖房):あったか暖風(立ち上がり時に素早く温風を送る)

冷媒温度の設定が可能な機種は、食品工場やクリーニング工場などの湿気が多い場所に適しています。

5-7 負荷に合わせ必要能力だけを最適供給

ダイキンの設備用・工場用エアコンには、全自動省エネ冷媒制御システムが搭載されています。全自動省エネ冷媒制御システムは、エアコンへの必要負荷に合わせて冷媒温度を制御するシステムです。

具体的には、外気温からエアコンの必要能力をリアルタイムに把握し、冷媒温度の目標値が計算されます。これにより、エアコンの発停ロスを抑制することも可能です。

制御システムに最適な冷媒温度に調節して圧縮機の回転数を抑えることで、効率的にエアコンの省エネ性を高められます。省エネ性が高いエアコンを導入したい場合は、全自動省エネ冷媒制御システムに対応した機種を選ぶと良いでしょう。

5-8 耐久性抜群

ダイキンの設備用・工場用エアコンの本体には、耐久性に優れた素材が採用されています。

例えば、リン脱酸銅に特殊な添加物を加えて作られた新銅合金電熱管をエアコンの部品に用いることで、従来よりも耐食性が約3~6倍に向上しています。とくに、オイルミストが立ち込める環境下での耐食性が大幅向上。新銅合金はオイルミストによる腐食に強く、室内機の熱交換器の伝熱管に適した素材です。

さらに、天井吊形タイプの機種では、室内機側の熱交換器にシンプルな設計のワッフルフィンを採用しています。ワッフルフィンは、埃や粉塵が多く舞う環境下でも熱交換器への目詰まりを防止してくれます。

5-9 洗いやすい機器仕様

埃や粉塵、オイルミストが立ち込める環境では、お手入れがしやすいエアコンが重宝されます。エアコンの熱交換器は埃や粉塵などが詰まりやすく、その状態を放置し続けるとエアコンの能力が低下し、省エネ性が下がる恐れがあります。

一般的な業務用エアコンは専門業者に清掃を依頼する必要がありますが、ダイキンの設備用・工場用エアコンなら従業員でも簡単にお手入れが可能です。ダイキンの設備用・工場用エアコンは熱交換器やドレンパン、エアフィルターが水洗いできる仕様になっているため、定期的にお手入れをすることで本体内部をいつも清潔に保てます。

 

6.ダイキン設備用・工場用エアコンの導入事例

ここからは、ダイキンの設備用・工場用エアコンのMULTI CUBEを導入したヤマトロジスティクス株式会社板橋ロジセンター様の事例を紹介します。

MULTI CUBEは、設置した環境に合わせた温度管理が可能なエアコンです。天井が高く面積が広い倉庫でも個別の空調システムの導入によって従業員一人ひとりが快適に作業できる環境を整備できます。従来の空調はダクトの設置工事が必要でしたが、MULTI CUBEはダクト工事が不要で据え付けや移設を簡単に行えます。

ヤマトロジスティクス株式会社板橋ロジセンター様は、首都圏の一拠点として輸送物の仕分け・組み立て・ラベル貼りなど、さまざまな物流加工で多様な顧客オーダーに応えている会社です。空調設備の更新を検討していたもののテナントの入居が決定しており、大規模な工事が不要な空調設備をお探しでした。

ダイキンの個別運転が可能なMULTI CUBEを導入した結果、空調設備の導入で懸念される材料をまとめて解消することができました。MULTI CUBEは設置しやすいだけでなく、ダクト工事にかかる費用の削減によってコスト面を抑えられたことで、満足していただけたようです。

まとめ 設備用・工場用エアコンのご相談は、ぜひダイキンへ

倉庫は天井が高く面積が広いため冷房の効きが悪い特徴があります。とくに夏場は金属製の屋根が直射日光の熱を吸収し、その影響で倉庫内の室温が上昇しやすくなります。倉庫内が暑くなり作業環境が悪化すれば、従業員の体調が悪くなるだけでなく、モチベーションが低下して作業効率も下がるかもしれません。

空調設備を整備すれば倉庫内の作業環境を改善し、前述したデメリットを解消できます。エアコンのプロに相談しながら自社の倉庫に合った空調設備を導入したい場合は、サポート体制が充実しているダイキンがおすすめです。

ダイキンでは、設備用・工場用エアコンを取り揃えています。省エネに有効な機能が充実している上に、幅広い現場環境に対応できる機種が豊富にあります。例えば、クリーンルーム用のエアコンや温度・湿度を安定したコントロールが可能なエアコンなどがその例です。

 

ダイキンではお見積もりや無料相談を承っているので、倉庫への空調設備の導入を検討している方は、ぜひお問い合わせください。