空調能力の選び方 3つのポイント
(2021年4月12日現在)
エアコンを選ぶ際に注意しなければいけないのが、能力。馬力や容量などの大きさで表記されていますが、実は形状が同じ機種であれば室内機の物理的なサイズ(寸法)に違いはほとんどありません。
購入したい機種の能力を検討する際は、冷暖房の熱負荷計算を行い、室内の“空調負荷”を元に能力選定を行います。ここでは、空調の能力を選ぶ上での“熱負荷“のポイントをご紹介します。
なぜ適した能力の空調を選ぶ必要があるのか
そもそも、なぜ能力を選ぶ必要があるのか。
適合能力のものに足りない馬力を選ぶと以下のようなことが懸念されるからです。
冷えず、暖まらず、効きが悪い
部屋の床面積だけで能力を決めたが、設定温度にいつまで経っても到達しない、冷えないので初期不良ではないか?と思われる場合もありますが、能力が足りなければ室内を冷やす/暖めることもできません。
電気代がかかる
能力が足りない為、運転してもなかなか設定温度にならずエアコンは最大能力で運転を続け、電気代も大幅にかかります。ある能力で“強”運転を続けるよりも適切な能力で運転する方が電気代も抑えられます。
すぐ壊れる
能力が足りない為、無理な運転を続けることで機械(特にコンプレッサーと呼ばれるエアコンの心臓に当たる部分)に負荷がかかり壊れやすくなります。
ただし、逆に能力が大きすぎると、風が強く不快に感じてしまいます。なぜなら、能力が大きいということは、その分風量が大きいということに繋がるからです。
エアコンを選ぶ際は、空調にかかる“熱負荷”をしっかりと考慮して、適切な能力のある機器をご購入下さい。
空調負荷・熱負荷って何?
能力を選ぶ際に計算する“熱負荷”。熱負荷とは空調する部屋に出入りする熱量、その部屋内で発生する熱量のことを言います。そして熱負荷が大きければその分、能力が高いエアコンを選ぶ必要があります。
熱量には、具体的に以下のようなものが含まれます。
冷房負荷の4種類
・外気負荷
窓・扉からの隙間風や換気のために入ってくる外気。
・太陽輻射
太陽熱がガラスを通過して入ってくる熱や屋根・壁を通して入ってくる熱。
・温度差による熱伝導
外気との温度差が伝熱・幅射して伝導する熱負荷
・室内で発生する熱
人体からの熱、発熱性のある照明や器具などの熱
※能力の単位
1kW=860kcal
1馬力=2,240~2,500kcal
ちなみに、人が1人室内にいる場合の熱量負荷は0.04馬力(100kcal)
つまり、設置する部屋に入る人数によって大きな能力が必要になります。
例)25人の場合 ⇒ 1馬力アップ
能力選びのポイント①部屋の広さ・業種で目安を判断
業種と部屋の面積によって目安となる能力が以下となります。
ご覧頂ければ分かるように業種によって部屋の広さに対する能力が異なります。
能力選びのポイント②業種別にチェックしておきたい熱負荷
一般事務所
一般事務所ではパソコンなどのOA機器が多い部屋では機器からの発熱が室内にこもり負荷となります。
また、従業員数が多い部屋では、その分の熱負荷を考慮する必要があります。
理美容院
理美容院ではドライヤーやパーマ機器など発熱性のある器具が多いかどうかを注意する必要があります。
また、湯沸器の設置場所が室内か室外かによっても熱負荷が大きく異なります。
一般商店
一般商店とは、服飾、貴金属、日用雑貨品などを販売されているお店ですが、商品を照らす照明などの店内で発熱性のある物や、冷蔵ショーケースなどを置いている生鮮食品店等は、より正確な負荷計算が必要になります。
飲食店
飲食店では比較的熱負荷が高くなる為、空調の能力も他の業種と比べると大きめのものが必要になります。さらに、カウンタータイプのお店では調理から発生する熱が客席に影響することを注意し、焼肉、お好み焼、もんじゃ焼など客席でも調理する環境では、大きめの能力が安心です。
従業員や店内のお客様数
通常の環境よりも室内の従業員数や店内のお客様が多い場合は、その分能力に余裕を持ってエアコンを選んでおけばいざという時にも安心です。
入り口の開放度や換気扇の使用
外気の出入りや換気扇により空気の入れ替えが多い場合は、その分冷やす/暖める空気が多くなるので空調の能力が必要になります。
店内の器具・設備の発熱量が多いもの
照明などの設備やドライヤーなど他の店舗にはないような発熱性のある器具を使用する環境では、能力の選定には注意が必要です。
天井が高いなどの建物の構造が特殊
天井が高ければその分多くの熱負荷がかかる為、大きな能力が必要になります。また、木造建築の建物など断熱性が低い場合は気密性の高い場合と比べると高い能力を選ぶ必要があります。
- 最後に
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空調は一度設置すると長く使い続けることになります。能力を選ぶ際は、部屋の広さだけでなく環境の熱負荷をしっかりと考えましょう。
“他の施設より熱負荷が多いのでは” “能力が分からない” など、不安に感じる場合は、空調の販売会社や専門業者に相談してみましょう。