換気・空気清浄

換気システムの種類は3つ!業務用・省エネには全熱交換器がおすすめ

オフィスや店舗に換気システムを導入したいものの、どのような種類があるのか、設置環境に合った換気システムを選ぶ方法を知りたいという人もいるでしょう。

この記事では、換気システムの導入を検討しているオフィスや店舗などの管理者に向けて、換気システムの種類や比較検討する際のポイントなどを詳しく解説します。換気不足による影響や全熱交換器についても解説しているので、ぜひ参考にして下さい。

Index
  1. 1. 換気システムとその必要性とは
  2. 2. 「自然換気」と「機械換気」の違い
  3. 3. 機械換気にはさらに3種類の方式がある
  4. 4. ダクト式とダクトレス
  5. 5. 換気システムを選ぶ比較ポイント
  6. 6. 省エネには「全熱交換器」(ダクト式)が適している
  7. 7. 換気不足によって出る影響
  8. 8. 換気システムとエアコンは別?
  9. 用途に合った換気システムを選んで快適な生活を

1. 換気システムとその必要性とは

オフィスや店舗などを建てる際は、換気ができる構造にすることが必須です。建築基準法では、全ての建築物は計画的な換気を行うことが義務付けられています。

ただし、建物の構造によっては窓を設置できないケースや、窓を開けて換気するのが難しいケースもあります。窓を開けて換気をする代わりに換気システムを導入すれば、効率よく室内の汚れた空気と外気の新鮮な空気を入れ替えできます。

換気システムとは、換気装置を用いて室内の空気を新鮮な空気と入れ替えるためのシステムです。

2. 「自然換気」と「機械換気」の違い

換気の方法は、大きく分けて「自然換気」と「機械換気」の2種類があります。自然換気は、屋外で吹いている風の圧力や室内と屋外の温度差で発生する浮力を利用して換気する方法です。風が吹かない時は換気がしづらい傾向があります。

機械換気は、換気扇や送風機などの機械を用いて強制的に換気を行う方法です。換気システムは機械換気に該当する換気方法です。自然換気は天候に左右される一方で、機械換気は風の有無に関わらず安定した換気を行えます。

2-1 換気を効率的に行うために重要なこと

効率よく換気をするには、入口・出口・通り道の3つをつくり出すことが重要です。

換気の入口になるのは給気口で、出口は排気口です。入口から出口の間の通り道をつくる際は空気が流れる経路を考え、空気の流れを妨げるものがないかを検討します。

具体的には、新鮮な空気をどこから入れるのか(給気口)、どこから出すのか(排気口)、どこを通り抜けるのか(通り道)を検討し、計画的に換気を行う必要があります。

3. 機械換気にはさらに3種類の方式がある

機械換気は第1種換気、第2種換気、第3種換気の3種類の方式に分けられます。いずれも常時換気が行われます。機械換気を採用する際は、換気の目的やシーンによって使い分けることが大切です。

3-1 第1種換気

第1種換気は、機械ファンを用いて強制的に給気と排気を行う方式です。機 種ごとに1時間で換気できる風量が決められているため、第1種換気を採用する場合は適切な機種を選ぶことが大切です。

第1種換気は居住空間から非居住空間まで幅広い種類の建物で採用されており、高気密で高断熱の建物にもおすすめです。

第1種換気は室 内の気圧を保ちやすく、気密性の高い建物でも安定的に効率よく空気の入れ替えができます。室内の気圧が乱れると扉が重くなり、開けにくくなることもありますが、1種換気ならその心配がありません。また、換気設備に熱交換器を設置すれば、排気に含まれる熱や湿気を給気に移すことで、夏は涼しい空気を、冬は暖かい空気を給気できます。

一方でデメリットは、初期費用やランニングコストが大きいことです。設置する空間の広さによっては、換気設備が2台必要です。例えば、ランニングコストは毎月数千円程度かかるとされています。さらに、全熱交換型の第1種換気を採用する場合は、空気中に含まれる水蒸気から熱を取り出して室内に戻せますが、通常の第1種換気では化学物質や汚れた空気が給気に混ざることがあります。第1種換気は、第2種換気や第3種換気と比べた場合、3種類の中で設置コストは最も高くかかるものの、換気質は最も効果が高い方式です。

3-2 第2種換気

第2種換気は、機械換気による給気と自然換気による排気で空気の入れ替えをする方式です。第2種換気が使用されることの多い場所は、食品を扱う工場やクリーンルームなどが挙げられます。

第2種換気のメリットは、機械換気による給気で室内に汚れた外気が侵入するのを防げることです。自然換気で給気を行った場合、外気のホコリや塵などが室内に侵入する恐れがありますが、機械換気ならホコリや塵などを取り除いた空気のみを室内に取り込めます。

ただし、排気は自然換気のため、自然環境によって排気が滞ってしまうと給気もスムーズに行えなくなります。設置コストは第1種換気よりも安く抑えられるものの、換気質は第1種換気よりも低めです。

3-3 第3種換気

第3種換気は給気が自然換気によって行われ、排気は機械換気で行う方式です。機械換気によって排気を行うため、ニオイや湿気などが広がる前に屋外へ排出できます。第3種換気が使用されることの多い場所は調理場やトイレ、浴室などが挙げられます。

第3種換気を採用するメリットは消費電力が少ないため、毎月の電気代を節約できることです。消費電力が少なく、1日中稼働させても毎月の電気代は数百円程度と安く抑えられます。また、換気設備を設置する場所によってかわるものの、フィルターを使用しない機種を選べば日々のお手入れの手間を減らせる上に、半年または年に1回の頻度でメンテナンスを行えば換気設備の性能を保てます。

一方で、デメリットは冬場や寒冷地で利用すると、室内でも寒さを感じやすくなることです。第3種換気は第1種換気と 異なり、排気する空気の熱を室内に戻せません。寒冷地で第3種換気を採用すると寒さを感じやすくなり、室内の温度を上げるために暖房が使用され、暖房費が高くなる恐れがあります。

寒冷地で第3種換気を採用する場合は、給気口や周辺の壁への結露対策や寒冷対策を行いましょう。第3種換気の設置コストは第1種換気よりも安く抑えられますが、換気質は第1種換気よりも低くなります。

4. ダクト式とダクトレス

ダクト式は、前述した3つの方式と比べても高性能な常時換気を行える方式です。第1種換気と一部の第3種換気を採用する場合に、壁に給気口や排気口を設けていないのは機械換気によって給気や排気を行うためです。給気口や排気口が壁にない代わりに、天井裏にはダクトを設置します。そのため、第1種換気または第3種換気を採用する場合は、ダクト式かダクトレスのどちらかを選ぶ必要があります。

ダクト式は天井裏に設置したダクトを利用して複数の空間の換気を行う方式です。一方のダクトレスはダクトを設置せずに1台または2台の換気扇で給気と排気を行います。建物が大きく、特定の空間の換気を効率よく行うならダクト式、導入・運用コストを抑えたい場合や後付けする場合はダクトレスがおすすめです。

4-1 ダクト式のメリット・デメリット

ダクト式のメリットは、天 井裏にダクトを設置するため、室内の壁に給気口や排気口を設けずに、複数の空間へダクトを通じて空気の入れ替えを行えることです。ダクト式は空気の流れを確実につくることができ、計画的な換気を実現できます。さらに、換気経路を思い通りに設計できるため、換気できているか、換気量を調整できているかなどの確認がしやすいこともダクト式のメリットです。

ただし、第1種換気でダクト式を採用した場合は、初期費用やランニングコストが高くなる傾向にあります。導入後は定期的なメンテナンスやフィルター・ダクトの交換が必要なため、長期的に運用コストが発生します。また、第3種換気でダクト式を採用した場合は、給気口と排気口の配置を間違えると換気にムラが出ることもあるので注意が必要です。

5. 換気システムを選ぶ比較ポイント

換気システムを選ぶ際は設置コストや性能だけでなく、メンテナンスのしやすさや稼働音の静かさが重要になります。本章では、換気システムを選ぶ際に考慮すべき比較ポイントを解説します。

5-1 メンテナンス(掃除)のしやすさ

メンテナンスや掃除に十分な時間を取れる場合は、換気システムを選ぶ際に考慮しなくても問題ありませんが、リソースを確保できない場合は掃除がしやすい換気システムを選ぶことが大切です。掃除をしないとフィルターにホコリが溜まって換気装置の性能が落ちて換気量が悪くなる、カビが生えて空気が汚れるなどの問題が発生する恐れがあります。

掃除だけでなく定期的なメンテナンスも必要です。メンテナンスを定期的に行えばエアコンの不調に一早く気付けるため、故障する前に問題を解決できます。また、普段のお手入れでは本体内部まで掃除できません。専門業者にメンテナンスを頼むことでホコリによる性能や換気量の低下を防げます。

5-2 稼働音の静かさ

換気システムは換気装置を用いて換気を行うため、機械の設置数によって稼働音の大きさが変わります。特に、給気と排気の両方が機械換気の第1種換気は、第3種換気と比べて設置する機械の数が多く、稼働音がうるさく感じるケースも多いでしょう。

ただし、稼働音の大きさはメーカーによって異なります。できる限り稼働音が静かな換気システムを選ぶなら、メーカーが公開している稼働音の数値を確認する、静音設計の機種を選ぶなど、慎重に検討してから自社に合うエアコンを選びましょう。

6. 省エネには「全熱交換器」(ダクト式)が適している

第1種換気を採用する場合は、全熱交換器を利用すればエアコンの省エネの効果を高められます。第1種・第2種・第3種換気のいずれの換気方式を採用しても、外気を室内に取り入れる場合は外気の影響で室内環境の温度や湿度が不安定になるケースが少なくありません。

例えば、夏は外から暑い空気を取り込むものの、エアコンによって冷やされた空気は屋外へ排出されるため、室内の気温は高くなります。一方で、冬は外から冷たい空気が入るものの、暖房設備によって暖かい空気は屋外へ排出されて室内の温度は低くなります。外気の影響を受けずに安定した換気を行いたい場合は、全熱交換器のある換気システムがおすすめです。

6-1 全熱交換器の仕組み

全熱交換器は、外気の影響を受けずに室内の温度を安定させて空気を入れ替える換気設備です。外から取り込んだ空気と屋外へ排出される空気の通り道になり、排気される空気の中から熱を取り出して、給気する空気に熱を移すことができます。

全熱交換器がエアコンの省エネ効果を高める理由は、全熱交換器の利用によって室内の温度変化が抑えられれば、設定温度に到達しようとする運転時間を最小限にして、消費電力を抑えられるためです。ダイキンには、「ベンティエール」という全熱交換器があります。

6-2 ダイキン「ベンティエール」

ベンティエール単体でも省エネ換気が可能で、空調への負荷を抑えつつも、快適かつ省エネな換気を実現できます。また、ダイキンのエアコンと連動させれば、センサーが人の不在を感知してエアコンとベンティエールを運転停止し、換気の無駄を抑えてくれます。

気流制御では、第1種・第2種・第3種換気の3つの方式があり、オフィスや店舗に合わせた方式を選ぶことが可能です。別売りの二酸化炭素センサーを搭載すれば、二酸化炭素濃度に応じて換気量を自動的に制御し、空気清浄も行います。

7. 換気不足によって出る影響

適切に換気できない場合は二酸化炭素濃度が高まるだけでなく、以下に挙げる汚染物質の濃度が高まり、場合によっては中毒を起こすリスクがあります。

● 一酸化炭素
● 窒素酸化物
● ホルムアルデヒド
● 揮発性有機化合物

建物に使用している建材の中には、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物などの中毒性の高い化学物質を含む場合があり、空気中に漏れ出します。これらの化学物質は発がん性があるもので、長時間吸い込むとアレルギー症状や中毒症状が現れるため注意が必要です。また、冬は窓を閉め切ったままでガスや石油を使用した暖房器具を使用すると、室内の一酸化炭素濃度が高くなり、最悪の場合は命の危険があります。

換気不足による影響は化学物質によるものだけではありません。ダニやホコリなどを総称するハウスダストによるアレルギー症状のリスクも高まります。ハウスダストの主な例は以下の通りです。

● ダニ、ダニの死骸やフン
● 砂や土
● 花粉
● 髪の毛
● 垢
● 食べ物のくず
● 衣類や寝具など

調理場やトイレなどの湿度が高い場所で換気を行わないと、室内に結露が発生してカビの原因になります。湿度が高い場所は柱や壁などが腐りやすくなるため、換気不足が続くと建物に損害が出る可能性も。空間の用途や建物の構造上の理由で自然換気が難しい場合は、換気システムを導入して強制的に換気できる仕組みを整備しておきましょう。

8. 換気システムとエアコンは別?

換気システムとエアコンでは、役割も搭載する機能も異なります。換気システムは給気口と排気口を確保し、外気を取り込んで室内の空気を効率よく換気するためのシステムです。一方のエアコンには換気機能がなく、室内の空気を循環させて温度や湿度を調整する役割があります。つまり、換気システムは換気が目的で、エアコンは温度調整が目的です。

業務用エアコンの中には、リモコンに「換気ボタン」が設けられているものもあります。ただし、リモコンの換気ボタンは、業務用エアコンと連動できる換気装置を設置しなければ利用できません。エアコンのある室内の換気を改善したい場合は、換気設備の導入を検討しましょう。

用途に合った換気システムを選んで快適な生活を

まとめ
換気不足を放置すると二酸化炭素濃度が高まるだけでなく、建物の建材から空気中に溶け出した有害な化学物質による中毒症状、ハウスダストによるアレルギー症状などが現れるリスクがあります。定期的に換気を行えば、室内の空気環境は改善可能です。用途に合った換気システムを選び、快適な生活を送りましょう。

ただし、通常の換気だけではエアコンで調整された空気が屋外へ排出され、エアコンの負担が増えて省エネ効果が低くなります。全熱交換器を利用すれば、エアコンと併用し省エネ効果を高めることができます。

ダイキンでは、全熱交換器を用いた換気システムを取り扱っています。高機能換気設備のベンティエールはダイキンのエアコンと連動できるため、より省エネで快適な換気を行えます。全熱交換器を利用した換気設備の導入を検討している人は、お問い合わせ下さい。