業務用エアコンに利用できる補助金・助成金まとめ

業務用エアコンの導入や買い替えには多額の費用がかかりますが、省エネ設備への更新を支援する補助金・助成金制度を活用することで、コストを抑えることが可能です。
本記事では、業務用エアコンの買い替えや新設に利用できる補助金・助成金の情報をまとめました。買い替えのタイミングや適切な時期、買い替え時のポイントについても解説していますので、ぜひご参考にしてください。
業務用エアコンの補助金一覧
今回は業務用エアコンに使用出来る補助金を紹介します。既に終了している補助金も毎年同様の時期に募集されることが多いので、来年度意向の予算取り等のご参考にしてみてください。
●省エネ設備への更新支援
●既存建築物省エネ化推進事業
●TEPCOカーボンニュートラルサポート
●省エネルギー投資促進支援事業費補助金
●自治体による補助金制度
それぞれについて以下で詳しく解説します。
省エネ設備への更新支援
経済産業省資源エネルギー庁が掲げる省エネ目標値は「2030年度に省エネ量2,155万kの達成」です。その推進策として、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」の公募を実施しています。この補助金制度では、最先端の省エネ設備への更新や脱酸素目的の燃転を伴う設備などへの更新が支援対象です。
補助対象となる経費 | CO2排出量削減余地診断や、CO2削減計画に必要な 人件費・業務費・一般管理費など |
補助率 | 1/2以内(中小企業の場合) |
補助金限度額 | 1億円 |
申請期間 | 2024年5月27日(月)~2024年7月1日(月) |
TEPCOカーボンニュートラルサポート
東京電力エリア内※1で東京電力エナジーパートナー社と所定の電力需給契約プラン※2を締結している施設を対象に、高効率空調機の新規設置・増設・更新を支援する補助金です。
補助対象となる経費 | 東京電力エナジーパートナー社の基準値以上のAPF (省エネ性能)を持つ高効率空調機※3の導入費用 |
補助金単価 | 店舗用エアコン:3,000円/kW(定格冷房能力) ビル用マルチエアコン:6,000円/kW(定格冷房能力) |
補助金限度額 | 合計350万円または契約電力1kW × 7,000円の いずれか小さい額 |
申請期間 | 2024年6月3日(月)~2024年12月27日(金) |
※1
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・神奈川県の富士川以東
※2
特別高圧電力契約、高圧電力契約、一部の低圧自由化料金(定額電灯、従量電灯A・B・C、臨時電灯、公衆街路灯、低圧電力、臨時電力、農事用は対象外)
※3
ダイキンの製品では店舗用エアコン「FIVE STAR ZEAS」とビル用マルチエアコン「VRV X」「VRV QX」が対象です
既存建築物省エネ化推進事業
既存の事務所やオフィスビルなどの省エネ改修などを促進することを目的とする補助金で、省エネ設備改修や躯体改修および併せて実施するバリアフリー改修が対象となります。
補助対象となる経費 | ・既存の事務所・オフィスビルなどの省エネ設備改修費用 ・エネルギー使用量の計測などに必要な費用 ・バリアフリー改修工事費用 (省エネ改修工事と合わせて実施する場合のみ) ・省エネルギー性能の表示に必要な費用注意事項 ※1、※2 |
補助率 | 1/3以内 |
補助金限度額 | 2,500万円(省エネ改修のみの場合) ※併せてバリアフリー改修も行う場合は省エネ改修で支給 される補助額が限度額となるため、合計で最大5,000万円 |
申請期間 | 2024年4月24日(水)~2024年5月29日(水) |
※1
建物全体の省エネ率が改修前の20%以上になること(躯体の改修⾯積割合が20%超の場合は省エネ率が改修前の15%以上になること)。なお、高機能換気設備を設置する場合は、建物全体ではなく設置する階単位で、省エネ率が改修前の20%以上であれば可。
※2
生産用設備を有する建築物(工場・倉庫・実験施設など)や公的資金の使途として不適切とみなされる施設(パチンコ店、麻雀店など)の改修や後付けした家電の交換などは対象外
上記に加えて、以下の要件も満たす必要があります。
- 改修後の省エネルギー性能が一定基準を満たすこと
- 改修後の省エネ性能を表示すること
- 省エネ改修工事とバリアフリー改修工事の事業費合計が500万円以上であること
- 改修後に耐震性を持つこと
- 採択年度中に着手し、原則、同年度に事業を完了すること
- 事例集への情報提供に協力すること
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下、「SII」)と大日本印刷株式会社が実施する補助金です。さまざまな業種で広く使用されている15種類の設備の省エネ改修支援が目的とされており、増設や新設は補助金の対象外となっています。また、支援対象は原則として、SIIが定める条件を満たした中小企業※1および個人事業主です。
この補助金は15項目に分かれており、業務用エアコン(電気式パッケージエアコン)を設置する場合は、「設備単位型・C指定設備」項目で申請できます。この場合の対象範囲は室外機、室内機、リモコン(集中リモコンも含む)、パネル、全熱交換器です。
補助対象となる経費 | SIIの基準を満たす指定の設備費用 |
補助率 | 1/3以内 |
補助金限度額 | 上限:1億円 下限:30万円 |
申請期間 | 2024年5月27日(月)~2024年7月1日(月) |
※1
大企業の場合は省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラス・Aクラス、または中長期計画書に記載した2030年度の見込みがベンチマーク目標値を達成する場合のみ支援対象
自治体による補助金制度
上記の他にも、各自治体が独自で補助金制度を用意している場合もあります。
例えば、葛飾区が区内の中小企業向けに実施している「かつしかエコ助成金」は再生可能エネルギーの利用促進および省エネ対策として、省エネ設備導入費用の一部を助成する補助金制度です。事業所の場合、太陽光発電システムや蓄電池、空調設備機器の改修や換気設備機器導入などの経費の1/4まで(上限100万円)が補助されます。
東京都の「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」は、「2050年CO2排出実質ゼロ」を目標として中小企業などの省エネ化を促進するための設備導入・運用改善を支援する補助金制度です。業務用エアコンに加えて、下記の設備導入も支援対象とされています。
● 全熱交換器
● LED照明設備
● 高効率ボイラー
● 断熱窓
● 高効率コンプレッサー
利用できる自治体の補助金制度については、最寄りの都道府県庁や市区役所などでご確認下さい。
助成金・補助金の基礎知識

助成金・補助金を申請するに当たり、次の基礎知識3つについてあらかじめ知っておきましょう。
● 助成金とは?
● 補助金とは?
● 助成金・補助金を調べる方法
それぞれの概要や利用するメリットや注意点について以下で解説します。
助成金とは?
助成金は主に厚生労働省が管轄する制度で、労働者の食の安定を目的として雇用促進や職場環境の改善、事業存続などを支援するために、経費の一部が支給されます。
助成金のメリットは返済が不要であることと、次に説明する補助金よりも支給されやすいことです。公募期間も補助金より長く、応募要件を満たせば支給される確率が高いため、自社で利用できる助成金制度がないか、よく調べてみることをおすすめします。
ただし、応募要件が細かく定められているため、応募すれば必ず支給を受けられるとは限りません。また、申請期限内に必要書類を正確に作成して提出する必要があります。加えて、申請から支給までにかなり時間がかかることも覚えておきましょう。
補助金とは?
補助金は主に経済産業省や地方自治体が管轄する制度で、企業の事業拡大や設備投資などを支援するものです。事業者が事業計画を作成して申請すると審査が行われ、採択された場合は実績報告後に費用の一部が支給されます。
助成金と同様に返済不要であることが補助金のメリットです。
ただし、補助金は助成金に比べて公募期間が短く、予算・定員が限られていることから審査も厳しいため、申請しても採択されない場合があります。また、採択されたとしても、事業計画通りに実施したことを裏付ける報告ができなければ、補助金は支給されません。加えて、申請から支給まで時間がかかる点は助成金と同じです。
いずれの場合も社内の予算取り等余裕を持った計画を立てることが必要です。
助成金・補助金を調べる方法
自社に合う助成金・補助金を調べるには、いくつかの方法があります。
国のHPや、自治体のサイトを見たり自治体に問い合わせたりするのも良いでしょう。商工会議所や産業振興センターも相談窓口になります。
それから、業務用エアコンを導入・更新したい場合は、業務用エアコン業者に相談するのがおすすめの方法です。業務用エアコン業者は、エアコンや高機能換気設備に関する助成金・補助金の最新情報や応募要件について熟知しているので、自社の状況や要望に合わせて的を射たアドバイスを受けることができます。
補助金を申請する際の注意点

補助金を申請する際にあらかじめ知っておくべき注意点もあります。次の4点に気をつけて下さい。
● 補助金は後払い
● 補助金対象外のケースもある
● 適切な事務処理が必要
● 期限に余裕を持って申請する
それぞれについて以下で解説します。
ダイキンTIPS
対象の設備機器であっても、機種によっては対象外となりますので要件をご確認下さい。
補助金の申請方法・適用可否などの詳細に関するお問い合わせは、各補助事業の申請窓口にお願いいたします。
補助金は後払い
多くの補助金は設置工事が完了した後に支給されます。申請から支給まで約1年を要する場合もあるため、補助金を予算に組み込んで計画すると資金繰りが難しくなりかねません。
また、支給金額はかかった費用の一部であり、全額が支払われるわけではないことにも注意しましょう。なお、支給額は全ての審査が完了してから決定するため、予想よりも受け取れる金額が少なくなる可能性もあります。そのため、業務用エアコンを導入する予算は、補助金とは別に自費で払える用意をしておくことが重要です。
補助金対象外のケースもある
上でも述べたように補助金は限られた予算・定員で公募するため、競争率が高くなる傾向にあります。申請された中から審査で採択する企業を選ぶため、応募要件を満たしていたとしても、必ず補助金が利用できるとは限りません。採択されなければ、申請するために書類を作成した手間と時間が無駄になり、補助金をあてにして設備投資にかけた経費も全て自己負担になります。
適切な事務処理が必要
補助金を受け取るには、採択された事業期間の終了後、定められた報告書類や支払証憑類を提出する必要があるため、適切な事務処理が欠かせません。また、提出期限内に不備のない書類を提出する必要もあります。
提出書類には必要な情報を漏らさず正確に記載し、補助金対象とならない経費が含まれないように注意しなければなりません。いいかげんな報告書類を提出すれば補助金が支給されない可能性もあるのです。実際に、補助金対象外の経費まで一緒に申請して、補助金の支払いを拒否された例もあります。
期限に余裕を持って申請する
補助金ごとに申請期限や施工期限が設定されているため、スケジュール管理に注意して計画的に進める必要があります。また、設備を設置する前に申請しなければなりません。設置後に申請しても補助金の対象にならないので要注意です。
さらに、補助金にはそれぞれの予算があるため、申請期間内であっても予算に達し次第、受付を閉め切る場合もあります。申請書類の作成にもそれなりの時間がかかるため、期限に十分な余裕を持って申請するように心がけましょう。
10年以上お使いの方は新しい業務用エアコンに買い換えれば省エネになる

新しい機種の業務用エアコンは省エネ性能の基準であるAPF値が向上しています。そのため、古い業務用エアコンを新しい機種に買い替えれば消費電力削減につながります。APF値を求める数式は次の通りです。
APF値 = 1年間に必要な冷暖房能力(kWh) ÷ 機種ごとの年間消費電力量(kWh)
APF値が大きいほど省エネ性能が高くなります。例えば、2008年モデルから2023年モデルに買い替えた際に、年間の電気代が48%削減されたケースがあります。
古い機種を修理しながら長く使いたいと考える人もいるでしょうが、古い機種の場合、故障時の交換部品をメーカーが保存しておらず修理できなかったり、交換修理の費用が割高になったりする可能性があるため、設置してからしばらく経った業務用エアコンは修理よりも買い替えを検討する方が良いでしょう。
業務用エアコンの買い替えの目安
業務用エアコンには経年劣化があるため、設置してから10年程度が買い替え時期の目安です。業務用エアコン本体の物理的耐用年数は約10~15年とされています。なお、エアコン機能の要である部品のコンプレッサーの物理的耐用年数も約10年です。ただし、稼働時間が長い場合や使用環境によっては、さらに物理的耐用年数が短くなる場合もあります。
次のような場合は買い替えを検討する方が良いでしょう。
● 冷暖房効果が落ちている
● 不具合が出てきた
● 設置後10年以上経過している
● 物理的耐用年数が近い、または超えている
● メーカーの部品保管期間である約10年が近い、または超えている
● 電気代が気になる
業務用エアコンを買い替える時期
業務用エアコンが故障して使えなくなれば、従業員や来客が快適に滞在できなくなり、業務に支障が出る可能性があります。そのため、業務用エアコン業者の繁忙期を避けて買い替えるのがおすすめです。具体的には、夏になる前が業務用エアコンの買い替えに適しています。夏に入って冷房を使い始める時期は修理や点検の需要も高まるため、買い替えや設置を依頼してもすぐに対応してもらえないかもしれません。
夏前に買い替えるためには、繁忙期を迎える前の4月~5月上旬に業務用エアコンの試運転を行い、トラブルがないか確認することが推奨されています。
買い替える際のポイント
業務用エアコンを買い替える際のポイントは主に次の3つです。
● 設置場所と用途に合った機種を選ぶこと
● 技術力の高い施工業者に入れ換え工事を依頼すること
● アフターサービスが充実していること
まず機種選びですが、業務用エアコンには多様な設置環境・使用条件に対応した形状や能力、運転システムなどがあって種類や製品が非常に多いため、自社に合った機種を自分で選ぶのは難しいかもしれません。そこで、業務用エアコン業者に設置環境調査や相談を依頼し、機種選びのアドバイスをしてもらうことをおすすめします。
また、業務用エアコンが能力を十分発揮するためには丁寧に設置することも重要なため、施工業者選びにも注意を払いましょう。加えて、購入後や設置後のトラブル対応など、アフターサービスが充実している業者から購入し、施工してもらうことも大切です。
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業務用エアコンを含む省エネ設備の更新や改修、新設などをする際に利用できる補助金があります。補助金には申請期限や施工期限、報告期限などがあり、申請から支給されるまでに時間がかかるため、時間と予算に余裕を持って申請しましょう。
補助金を探す際はインターネット検索や自治体への問い合わせなどもできますが、業務用エアコン業者に相談するのが最もおすすめです。
ダイキンでは補助金、助成金対象の多種多様な業務用エアコンのラインナップを展開しています。業務用エアコンの導入や買い替えを検討している人は、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。資料請求・ご相談は無料です。
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